RGBとCMYKの違いとは?印刷で色が変わって見える理由
- miyuki tsurumi
- 10月28日
- 読了時間: 4分

「この色味をそのまま印刷で再現してほしい」と入稿されたデータを確認すると、RGBカラーで作成されていたことはありませんか?
画面では鮮やかに見えるその色も、印刷では同じようには再現できません。なぜなら、モニターと印刷では色の作られ方そのものが違うからです。
今回は、RGBとCMYKという2つの色表現方式の違いを整理し、制作現場や営業対応で押さえておきたい“印刷でくすむ理由”をわかりやすく解説します。
RGBとは? ― ディスプレイで鮮やかに見える色の世界
• RGBはRed(赤)・Green(緑)・Blue(青)の光を組み合わせて表現する方式です。
• 「加法混色」で、色を重ねるほど明るくなり、最終的に白に近づきます。
• スマホやPCモニター、デジタルサイネージなど、「光を直接目に届ける媒体」で使用されます。
RGBの色域はとても広く、特に鮮やかな青や緑、蛍光のような色合いを得意としています。そのため、画面上では彩度の高い色が美しく再現されるのです。
CMYKとは? ― 印刷で使われるインクの世界
• CMYKはCyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)、Key Plate(黒)の4色で表現します。
• 「減法混色」で、インクが光を吸収し、残った反射光が色として目に届きます。
• オフセット印刷やオンデマンド印刷など、紙にインクをのせる方式で利用されます。
CMYKはRGBに比べて表現できる色域が狭く、特にビビッドな青やライムグリーン、蛍光色は苦手です。モニター上で見ていた鮮やかな色が、印刷物になると落ち着いたトーンに変わるのはこのためです。
鮮やかに再現できない主な原因
1. 色域変換の差異
RGBで作成したデータをそのまま印刷用に変換すると、自動的にCMYKへ置き換えられます。この変換時に「再現できない色」が近似色へ置き換えられるため、彩度が落ちたり、全体的に沈んで見える原因となります。
2. 紙質の影響
• コート紙やアート紙などの光沢紙では発色が良好。
• マット紙や上質紙では光の反射が抑えられ、落ち着いた色合いに。
• 再生紙や非塗工紙ではインクが沈みやすく、さらにトーンダウンします。
3. モニター環境とのギャップ
クライアントが見ているモニターの輝度や色温度設定によっても、印刷との差が拡大します。制作側が「適正なキャリブレーション」をしていても、顧客の環境次第で印象は変わる点に注意が必要です。
実務で押さえておきたいチェックポイント
デザイナーや営業担当が印刷前に確認しておくと、トラブルを減らせるポイントを挙げます。
1. データは必ずCMYKで作成・入稿するRGBデータは自動変換時に色のズレが大きくなります。印刷データを作成時は、必ず最初にCMYKカラーモードを選択するのが基本です。
2. 特色指定が必要かを確認ブランドカラーや企業ロゴなど「絶対にブレてはいけない色」は、PANTONEやDICの特色指定を検討しましょう。営業担当はクライアントに「この色はプロセスで近似再現」「特色なら正確再現」と選択肢を提示すると安心感につながります。
3. 校正刷り(プルーフ)の活用高品質な本機校正や簡易プルーフを出すことで、実際の仕上がりイメージを事前に共有できます。営業サイドでは「色校を出さない場合のリスク」も説明しておくと、クレーム防止に有効です。
4. 用紙選定で仕上がりを調整光沢紙で鮮やかさを、マット紙で落ち着きを、再生紙で風合いを…といったように、目的に応じて紙を提案することも印刷会社ならではの付加価値です。
クライアントへの説明のコツ
営業担当者がよく直面するのは、クライアントから「画面と同じにしてほしい」と言われるケースです。その際には以下のように伝えると理解を得やすいでしょう。
• 「印刷は光ではなくインクと紙で色を作るため、画面のような鮮やかさは出にくい部分があります。」
• 「ただし用紙や印刷方式の工夫、特色の利用で理想に近づけることが可能です。」
技術的な理由をシンプルに説明し、代替案を示すことで信頼感が増します。
まとめ
• RGBは「光の色」、CMYKは「インクの色」。
• 色域の違いにより、印刷物はモニターより落ち着いたトーンになりがち。
• 紙質や印刷方式、データ作成方法によって仕上がりは変わる。
• 実務では「CMYKデータでの制作」「特色や校正の活用」「用紙提案」で対策を。
RGBとCMYKの違いを理解しておくと、印刷物の仕上がりをより意図に近づけることができます。モニターの色をそのまま再現することは難しくても、データの作り方や用紙の選び方、印刷方法の工夫で印象は大きく変わります。
色の仕組みを知っておくことで、デザイナーは表現の幅を広げ、営業はより的確な提案ができるようになります。一つひとつの工夫が、クライアントの「思っていた以上にきれいな仕上がり」につながるはずです。








