〈印刷・デザイン〉の現場が教える!「イメージが伝わる人」がやっていること
- miyuki tsurumi
- 8月21日
- 読了時間: 5分
更新日:8月26日

はじめに
「こんな感じで、ふわっと優しい印象で」
「高級感は欲しいけど、派手すぎない方向で」
「もう少し“映える”感じにできませんか?」
――印刷会社やデザイナーに発注したとき、思い描いていたものと仕上がりにギャップを感じたこと、ありませんか?
そんなとき、「言い方が悪かったのかな」「センスがないのかな」などと、自分を責めてしまう方もいますが、それは大きな誤解です。
イメージが伝わらないのは、“発注側の能力が足りないから”ではありません。実は、ちょっとした工夫やコツで、プロとのやりとりはぐっとスムーズになるのです。
今回は、印刷・デザインの現場から見た「イメージがちゃんと伝わる人」がやっていることを、わかりやすく解説していきます。
1. 「完成品」の前に「伝えたいこと」がある
よくあるパターンとして、
「こういう箱にしたい」
「この配色で」
「こんな紙質で」
と、完成イメージのディテールから話が始まることがあります。
もちろん具体的な指示はありがたいのですが、その前に重要なのが、“何を伝えたいのか”という核の部分。
たとえば:
「この商品を手に取ってほしいターゲットは誰か」
「どういう場面で使われる商品か」
「他社と差別化したい点はどこか」
「第一印象でどんな雰囲気を与えたいか」
こうした背景を最初に共有してもらえると、私たちも「その想いをどう表現するか?」という視点で提案ができます。
伝えるのはデザインではなく、“伝えたい価値”から。
ここが上手な人は、プロからの共感も得やすく、やりとりもスムーズです。
2. フォントの印象は「デザインの半分」
意外と見落とされがちですが、フォント(書体)選びはデザインの印象を左右する大きな要素です。

たとえば:
明朝体(セリフ体):品格や高級感、和の雰囲気が出やすい
ゴシック体(サンセリフ体):力強さ、現代的、読みやすさ
手書き風フォント:親しみやすさ、ナチュラル感
筆記体や装飾フォント:華やかさ、個性、特別感
イメージを伝える際に、「この文字の雰囲気にしたい」「手書き風で柔らかく」といった指示があると、表現のブレを防ぐことができます。
ポイント:参考になるフォントを一緒に送る
「このフォントの雰囲気が好き」
「このブランドの文字感が理想」
など、画像やサイトのスクリーンショットでも構いません。参考にしたい方向性があると、的確な提案が可能になります。

3. 参考イメージは「複数」あると伝わりやすい
「参考にしたいデザインありますか?」と聞くと、1点だけの画像やパッケージを提示されることがよくあります。
ですが、実際に“伝えたい印象”は、1つの参考画像だけでは表現しきれないもの。
たとえば:
「この色味が好き」
「このロゴのサイズ感がちょうどいい」
「この素材のツヤ感が理想」
「このフォントの優しさを出したい」
など、それぞれ違う角度の参考を3〜4点ほど集めていただくと、こちらでも全体像がつかみやすくなります。
PinterestのボードやInstagramの保存機能などを使ってもOK。「これ全部じゃなくて、こういう“雰囲気”を伝えたいんです」という伝え方ができると、デザイナー側も安心します。

4. 「言葉にならない感覚」こそ、図解やラフで伝える
「イメージはあるけど、言葉にできない」――そんなとき、ぜひ手描きラフや構成図などを遠慮なくご共有ください。
絵が苦手でも、棒人間でも、紙にざっくり書いたもので大丈夫です。実は、“言葉にならない部分”を伝えるのに最も有効なのは、簡易な図解だったりします。
当社・美有起でも、「手描きのラフをもとにオリジナルの可愛いキャラクターを制作した事例」「メモ書きから、デザイナーが魅力的な販促物を完成させた事例」が多数あります。
言葉にしにくいものは、手で描く。
このひと手間が、仕上がりの精度を大きく変えます。
5. 修正のやりとりも「具体的にフィードバック」すると精度アップ
デザインの初稿が出てきたとき、
「もうちょっと可愛く」
「なんか違う」
「パッとしない」
などのフィードバックになってしまいがちです。
でもここで、少しだけ“具体化”して伝えることで、修正の質が変わります。
具体的にするには?
「もう少し可愛く」→「線を細くして、柔らかい印象にしたい」
「なんか違う」→「背景の色が重たく感じるので、もう少し明るい色味がいいかも」
「パッとしない」→「文字のフォントを少し太めにして強調したい」
“何をどう変えたいか”が伝わると、修正も1回で終わることが増えます。
6. 「質問できる関係性」を築いておく
最終的に、“伝わるかどうか”を決めるのは、関係性です。
一方的に依頼するのではなく、「相談できるパートナー」として付き合えるかどうか。
たとえば、
「このフォントって読みやすいと思いますか?」
「これってプロ的にどう感じますか?」
「他に伝え方として良い方法ありますか?」
といった質問ができる関係性であれば、より良いアウトプットが生まれやすくなります。
当社・美有起では、社内にデザイナー・印刷オペレーター・設計担当がそろっており、「プロの視点で細かな相談にのってくれる会社」として多くのブランドオーナー様にご信頼いただいています。

まとめ:「伝わる人」は、“伝える工夫”をしているだけ
「伝わらない…」と感じる場面は、決して珍しいことではありません。
でもその壁を超えて、「伝わる発注」ができる人には、ちょっとしたコツと工夫があるだけです。
背景や想いから共有する
フォントや素材の印象も含めて伝える
参考は複数用意する
言葉にできないものは図解で
修正は具体的なコメントを
プロに質問してみる
これらを少しずつ実践していけば、あなたの「こうしたい!」という気持ちは、きっと正確に伝わり、形になります。
そしてその結果、あなたのブランドや商品が、より多くの人に“ちゃんと伝わる”ようになるはずです。
ご相談はお気軽に!
美有起では、初期段階のラフスケッチやイメージ共有からのサポートが可能です。
「言葉にできないけど、伝えたいイメージがある」
「ちゃんと伝わるデザインを作っていきたい」
そんな時は、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、あなたの“伝えたい”を形にする、最初の一歩からご一緒します。








