紙の規格サイズ「菊判」「四六判」の違いとは?

紙の規格サイズ「菊判(きくばん)」と「四六判(しろくばん)」の違いは、紙の寸法と主に使われる印刷物の種類にあります。どちらも日本の出版・印刷業界で使われる伝統的な紙の規格です。
菊判と四六判のサイズ比較
・菊判(きくばん)636 × 939 mm
比較的細長い形、書籍や雑誌、商業印刷などに使用
・四六判(しろくばん)788 × 1,091 mm
菊判よりも大きい
単行本や文庫以外の書籍、表紙などに使用
※上記は一般的な原紙寸法です。
※メーカーや紙の種類によって規格・寸法が異なる場合があります。
「菊判の本」「四六判の本」とは違う?
ここは少し紛らわしいポイントです。
紙の規格としての「菊判」「四六判」と、書籍の仕上がり寸法を表す「菊判」「四六判」は、厳密には区別が必要です。
菊判(書籍の判型)
約152 × 218 mm程度。比較的大きめの書籍や専門書などに使われます。
四六判(書籍の判型)
約127 × 188 mm程度。小説や一般的な単行本などによく使われます。
書籍の判型は、原紙を裁断して製本したあとのサイズです。出版社や印刷会社によって寸法に多少の違いがあります。
名前の由来
菊判 :明治時代に輸入された紙の規格に由来するとされ、
「菊」の名は当時の紙の商標などに関係するといわれています。
四六判:原紙を一定の大きさに裁断してできる判型に由来する名称で、伝統的な書籍の寸法として定着しました。
まとめ
原紙の大きさで比較するなら、菊判は636 × 939 mm、四六判は788 × 1,091 mmで、四六判のほうが大きいというのが基本です。
ただし、印刷会社とのやり取りでは「原紙サイズ」の話なのか、「本の仕上がりサイズ」の話なのかを確認することが重要です。特に印刷物の発注では、この違いによって用紙の選定や印刷の面付けが変わります。
【印刷現場ではどう使われる?】
ここからは、印刷会社の視点で、「実際にどうやって紙を使い、仕上げサイズにしているか」について、もう一歩深く掘り下げていきましょう。
本やパンフレットは、最初から仕上がりサイズでは刷らない
たとえば「四六判の本を作りたい!」と思ったとしましょう。
このとき、四六判(127mm × 188mm)ぴったりの紙に、1ページずつ刷るわけではありません。
なぜなら、印刷機は紙の端ギリギリまできれいに印刷できないからです。
印刷機の構造上、どうしても「ノンプリントエリア」と呼ばれる、
インキがきれいに乗らないゾーンがあり、紙を送り込むための余白が必要になります。
そのため、仕上がりより一回り大きな紙に、塗り足し(断裁するための余白)をつけて印刷し、最後に断裁して仕上げる。これが基本の流れになります。
たとえば、表紙が全面イラストや写真で覆われた本を作りたい場合。仕上がりサイズぴったりに絵を置くと、断裁のわずかなズレで白い部分(白フチ)が見えてしまいます。

それを防ぐために、上下左右に各3〜5 mm程度の「塗り足し」をつけるのがルールです。
つまり、仕上がりサイズより、縦横とも6mm〜10mm大きいサイズでレイアウトする必要があるわけです。
さらに大事なのが、原紙の選び方。印刷の設計では、下記が重要になります。
・仕上がりサイズと原紙サイズの関係。
・どの原紙を使うか?
・どんなレイアウトで紙取り(面付け)するか?
たとえば、仕上がりがA3サイズ(297mm × 420mm)のチラシを作る場合。
単純に「A3サイズの紙に刷ればいい」と思うかもしれませんが、それでは全面ベタ刷りができません。
なぜなら、A3ジャストの紙では塗り足し分の余裕が取れないからです。
そのため、実際には菊判四つ切サイズ
ハトロン判四つ切サイズなど、A3より一回り大きな紙を使って印刷し、最後に断裁してA3に仕上げるというプロセスになります。
【イメージ】
▶︎ 大きな原紙に、仕上がりサイズ+塗り足し分のデータを面付け▶︎ 印刷後、塗り足しラインで断裁▶︎ 完成したA3チラシ!
なぜ「端まで印刷できない」のか?
印刷機には、紙を安定して送るための「紙押さえローラー」や「グリッパー(クワエ)」と呼ばれる機構があります。これが紙の端をつかんで運ぶため、どうしても紙のごく端には印刷できない部分ができてしまうのです。そのため、必ず大きめの紙に刷ってから断裁するという文化が、印刷業界では当たり前になっています。
印刷設計=コストにも直結する
もうひとつ重要なのが、
「取り都合(とりつごう)」=どれだけ無駄なく刷れるか?という考え方です。
たとえば、
ある原紙に四六判サイズがぴったり8面取れるならロスが少ない
逆に、5面しか取れないと、無駄が多くコストも高くなる
この「原紙のサイズと仕上がりサイズの最適な組み合わせ」を考えるのも、印刷会社の腕の見せ所です。
同じ仕上がりサイズでも、使う原紙や取り都合次第でコストが変わる。これも、知っておくと面白い印刷の裏話ですね!
【まとめ】
印刷は必ず「大きな紙」に「塗り足しつき」で刷り、仕上げで断裁する
全面印刷したいなら、原紙サイズの選び方が超重要
印刷設計=コストや品質にも大きく関わる
【その他、A判・B判だけじゃない!紙サイズいろいろ紹介】
印刷や本の話になると、つい「A判」「B判」という言葉が中心になりがちです。たとえば、
A4サイズのチラシ(210 × 297 mm)
B5サイズのノート(182mm×257mm)
でも、印刷現場ではA判・B判だけではなく、もっといろいろな「原紙サイズ」が使われているのをご存じでしょうか?
ここでは、印刷会社ならではの視点で、ちょっとマニアックな紙サイズたちをご紹介します!
ハトロン判(ハトロン紙判)サイズ:900mm × 1200mm
もともと「ハトロン紙」と呼ばれる丈夫な包装紙に由来する紙サイズです。
厚みがあって破れにくいので、
大判ポスター、包装用紙、貼箱の中敷きなど、強度が求められる用途によく使われます。
ハトロン判をベースに刷って、断裁してA3やB4などに仕上げるケースもあります。特にポスター印刷では、ハトロン判が活躍する場面が多いですね。
四六判原紙:788mm × 1091mm
菊判原紙:636mm × 939mm
これは、先ほど出てきた「四六判」や「菊判」のもとになっている原紙サイズです。
もともとの原紙サイズに合わせた「面付け」を考えることが印刷設計ではとても重要です。

A判・B判だけじゃなく、
ハトロン判
四六判原紙
菊判原紙
菊半裁・四六半裁
新書判・文庫判といった多種多様な紙サイズが、印刷の現場では日々使われています。
仕上がりサイズだけを見ているとわからない、「もとの紙をどう使っているか」まで知ると、印刷物の面白さが一段と深まります!

【印刷物制作で気をつけたいこと】
仕上がりサイズと原紙サイズをセットで考える。
本やパンフレットを企画するとき、下記を逆算して設計することが欠かせません。つい「仕上がりはA4で」「B5で作りたい」といった話から入ってしまいがちです。
印刷設計の目線では、
・仕上がりサイズは、どの原紙からどれだけ取れるか?
・塗り足しを考えたら、どのサイズで印刷するべきか?
印刷設計に強いパートナーと相談する
本づくりや印刷物制作は、最初の設計段階で成功・失敗がほぼ決まります。
どの紙を選ぶか?
どれだけロスを減らすか?
コストと品質をどう両立するか?
これらをうまくコントロールするには、「なんとなくこのサイズで」「なんとなくこのデザインで」ではなく、経験豊富なスタッフと一緒に設計することで、無駄なく、きれいで、読みやすい印刷物を作ることができます。
【まとめ】
菊判・四六判・A判・B判それぞれに成り立ちがあり、特徴があり、現場ではどう使われるかも違います。
仕上がりだけを見るのではなく、原紙サイズまで考えること。
塗り足しをしっかり設計すること。
用途にあったサイズ選びをすること。
「仕上がりイメージに合う紙サイズがわからない」
「断裁設計や塗り足しのことが不安」
そんな時は、弊社に相談することをおすすめします。
正しい設計は、きれいな仕上がりへの最初の一歩です。






