その什器、売場で浮いていませんか?-ブランドが“売れる空気”に溶け込む什器デザインと設計術-
- miyuki tsurumi
- 8月4日
- 読了時間: 4分

販促用の什器。商品を並べるだけの“置き場”と思われがちですが、実は売上に大きな影響を与える存在です。
しかし現実には、什器だけが浮いてしまい、売場の雰囲気から浮いていたり、ブランドイメージと乖離してしまっているケースが多く見られます。
今回は「その什器、売場で浮いていませんか?」という問いかけから出発し、印刷担当者が知っておくべき什器設計の考え方、ブランドとの調和、売場との親和性について、お届けします。
1. 「浮いてる什器」が売上を妨げる
什器が本来果たすべき役割は、“商品を引き立てる”こと。
売場の雰囲気やブランドの世界観に自然に溶け込みながら、視認性や導線を確保し、商品を「思わず手に取らせる」ことが求められます。
しかし、次のような什器は要注意です:
・周囲の売場と色味や素材感がチグハグ
・ブランドカラーとマッチしておらず、印象が薄い
・売場サイズと合っていない(大きすぎる/小さすぎる)
・店頭什器なのに強度不足で歪んでいる
このような什器は、せっかくのデザインも活かされず、ブランドの信頼感や販売力を損なう要因となります。
2. “調和”を前提とした什器設計が鍵
美有起が目指すのは、「売場に自然に馴染みながらも、ブランドの存在感を伝える什器」。
そのためには、以下の要素を事前に設計に組み込む必要があります:
1. ブランドトーンとの整合性
ブランドロゴ、フォント、使用カラー、パッケージ素材などを事前に共有
化粧品であれば“繊細・上質”、日用品であれば“実用・清潔感”などの雰囲気を意識
2. 売場環境の理解
百貨店、バラエティショップ、ドラッグストア等、売場の平均棚高や照明環境、ターゲット層を考慮。什器が売場全体の動線を妨げないことも大切
3. 商品サイズ・重量とのバランス
商品が倒れない設計、取りやすさ、視認性を兼ねた構造
素材も紙製なのか段ボール製か、補強が必要かなどを検討

3. 美有起が得意とする「売れる什器」の作り方
什器制作のご依頼をいただいた際、美有起では次のようなステップで進めています。
ステップ1:ヒアリング
商品の特徴、ブランドコンセプト
ステップ2:形状提案と設計
平面だけでなく、3D設計で確認可能な図面をご提示
展開後にお客様自身で組立しやすい設計(ワンタッチ式など)も多数対応
ステップ3:デザイン連携・素材提案
商品デザイナー様と連携し、什器側の色や材質も統一
コートボール紙、E段ボール、エンボス紙など素材も豊富
ステップ4:試作と検証
実寸サイズでのモックアップを出力し、売場に置いたときのイメージを確認
必要があれば強度テストや棚試しを実施

4. 売場で“選ばれる什器”の条件とは?
什器をただ「置く」だけでは、売場で埋もれてしまいます。お客様の視線を自然に導き、商品を手に取ってもらうには、いくつかの視点で設計を見直す必要があります。
では、売場で「選ばれる什器」とはどんなものなのでしょうか?美有起では、以下のようなポイントを重視して設計を行っています。
● 見やすい高さ・角度で“視線を止める
人の目線は、無意識に動線や陳列の流れに沿って動きます。目の高さに合わせた什器の設計や、商品を少しだけ前傾させて配置することで、視線を引きつけやすくなります。
● 「取りやすい」が売上につながる
手が届きにくい、高さがバラバラ、取り出しにくい──そんな什器は機会損失を生みます。商品がスムーズに手に取れて、戻しやすいことも、購買につながる重要な要素です。
● 組み立てやすさ・運びやすさも評価ポイント
現場で什器が敬遠される理由の一つに「設置が大変」があります。工具不要、折りたたみ可能、軽量化など、扱いやすさへの配慮も、実際の運用においては非常に重要です。
● 廃棄・回収も見越した素材設計
キャンペーン後の処分や保管、再利用のしやすさを考えた素材選びは、エコ対応だけでなくコスト効率にもつながります。段ボールや再生紙素材でも、印刷や加工で高級感を出すことは可能です。
5. 「映える」より「馴染む」を大切に
近年、SNS映えを重視する傾向もありますが、什器に関しては“馴染むこと”が重要です。
什器が目立ちすぎて商品が見えない、設置しづらい、調和を乱す。
それでは本末転倒です。
私たちは、商品が引き立ち、売場で自然に溶け込み、手に取りやすい。
そんな“売れるための器”をデザイン・設計しています。
【まとめ】
■浮いた什器はブランドの価値を損なう
■売場との調和、商品とのバランス、ブランドとの統一が重要
■美有起は一貫体制で設計・試作・量産まで対応
美有起は「売れる什器」を、印刷設計から一緒に考えます
陳列什器は、単なる置き場ではありません。
それはブランドの“立体的な広告”であり、“最後の営業マン”です。
その一台に、どれだけの想いと戦略を詰め込めるか。
ぜひ、美有起にご相談ください。