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オンデマンド印刷によるシール印刷の活用について

  • miyuki tsurumi
  • 7月22日
  • 読了時間: 6分
ステッカー

デジタル印刷技術の進化とともに、印刷業界全体で注目を集めている技術のひとつに「オンデマンド印刷」があります。この技術は、必要な時に必要な分だけを印刷できるという柔軟性を持ち、従来の大量印刷とは異なる価値を提供しています。中でもシール印刷の分野においては、このオンデマンド印刷の活用が急速に進んでおり、さまざまな現場で革新をもたらしています。ここではオンデマンド印刷がシール印刷の分野でどのように活用されているか、そのメリットや活用方法について見ていきます。



オンデマンド印刷の特徴


オンデマンド印刷の特徴

まずはオンデマンド印刷の基本から確認していきましょう。オンデマンド印刷とは直訳すると「要求に応じた印刷」であり、デジタルデータを直接印刷機に送り必要な分だけをスピーディに印刷する方式です。従来のオフセット印刷のように版を作成する必要がないため、初期費用が抑えられ、多品種小ロットでの印刷物に特に適しています。 この特性は、シール印刷の分野で強く求められてきたニーズとぴったり重なります。 例えば、季節限定商品やイベント用のパッケージ、小ロットのテストマーケティングラベルなど、短期間かつ少量での制作が必要とされる場面では、オンデマンド印刷が非常に大きな力を発揮します。



シール印刷における課題とオンデマンド印刷の解決策


従来のシール印刷では、一定の枚数以上印刷しなければコストが合わないという課題がありました。たとえば 100 枚だけシールを作りたい場合でも、版代や準備時間などが掛かるため、どうしても割高になってしまいます。しかしオンデマンド印刷を活用することでこれらの課題は一気に解消されます。デジタルデータから直接印刷できるため、初期費用がほとんどかからず、小ロットの印刷に最適です。また、デザイン変更も簡単で、バージョン違いのシールを短時間で複数種制作することも可能です。商品ごとの異なる成分表示や QR コード、シリアルナンバーなど、可変情報にも柔軟に対応できるのはオンデマンド印刷ならではのメリットと言えるでしょう。


スピード感がビジネスを加速する


印刷

オンデマンド印刷のもう一つの利点は、そのスピード感にあります。従来の印刷では入稿から納品まで数日から 1 週間以上かかることが一般的でしたが、オンデマンド印刷では即日から数日での納品も可能となるケースが多いです。これはスピードが命と言える現代ビジネスシーンにおいて、大きなアドバンテージとなります。例えば、新商品のテスト販売をする際、パッケージデザインが確定していない段階でも仮ラベルを短納期で制作できるため、柔軟なマーケティング展開が可能となります。また、季節限定のラベルやキャンペーン用のシールなど、短納期での使用が前提となる印刷物に対しても、オンデマンド印刷は最適となります。


一方で、スピード重視のオンデマンド印刷にも注意すべき点があります。印刷そのものは短納期に対応可能ですが、用紙の種類や加飾加工との相性に制限があるため、特殊な仕上がりや高級感を求める印刷物には不向きな場合があります。たとえば、エンボス加工や箔押し、ニス加工などは、トナーやインクの定着方法の関係でうまく施せない、あるいは仕上がりにムラが出ることもあるため、事前のテストや確認が必要です。


さらに、印刷に使用できる用紙も限られており、エンボス紙や和紙、厚手の特殊紙などが使えない場合もあります。また、オンデマンド印刷では印刷時の熱によって紙が変形しやすく薄紙や耐熱性の低い紙には注意が必要です。


加えて、同じデータでもロットごとに微妙な色差が生じることがあるなど、色の再現性に課題がある点も見逃せません。特色(DICやPANTONEなど)を厳密に再現したい場合には、オフセット印刷の方が適しているケースもあります。


このように、オンデマンド印刷は短納期・小ロットといった面で大きなメリットがある一方で、仕様や仕上がりにこだわる印刷物の場合には、対応可能かどうか事前の確認や相談が重要となります。


活用事例:多品種小ロット、短納期ニーズへの対応


オンデマンド印刷によるシール印刷の活用事例として、まず挙げられるのが個人や小規模事業者による商品のラベル印刷です。これらの現場では、商品ごとにラベルのデザインやサイズが異なる場合が多く、数十枚単位での印刷が求められます。オンデマンド印刷なら、データを入稿してそのまま印刷するだけで済むため、作業スピードも速く、コストも抑えながら高品質なシールを短期間で手にいれることができます。また、食品業界でもオンデマンド印刷は活躍しています。例えば、地元の農産物や手作りジャム、クラフトビールなど、地域性や季節感を重視した商品は、定番ラベルとは異なる表現が求められます。オンデマンド印刷を活用すれば、シーズンごとの限定ラベルやイベント用のデザインを少量ずつ用意することが可能となり、消費者への訴求力を高める手段として非常に有効です。


コストと品質のバランス


コストと品質のバランス

オンデマンド印刷は小ロット印刷に強い反面、大量ロットに比べると単価が高くなることがあります。特に大量に印刷する場合には、従来のオフセット印刷の方がコストパフォーマンスに優れている場合があります。しかし、オンデマンド印刷では必要な数量だけ印刷できるため、在庫を持たないという観点で見ると大きなメリットにもなります。これにより在庫管理の手間や廃棄リスク、保管コストを大きく削減することができます。 近年オンデマンド印刷は品質面でも大きく進化しています。今までのオンデマンド印刷はフルカラー出力が基本でしたが、金、銀、白、特色(ピンク)などの補色トナーが出てきたことで色の再現性、発色の美しさにおいてもオフセット印刷と遜色のない仕上りが得られるため、高い高級感を求めるブランドでもオンデマンド印刷の採用が進んでいます。


まとめ


オンデマンド印刷技術の進化により、シール印刷の可能性も大きく広がりました。小ロット対応、短納期、多品種対応など、従来の印刷方式では難しかった課題を解決し、多様な業界で活用されています。特にブランディングやマーケティングにおいて、オンデマンド印刷の利便性を最大限に活用することで、効果的な商品展開やプロモーションが可能になります。 今後もデジタル印刷技術は進化し続けるでしょう。オンデマンド印刷をうまく活用し、効率的かつ柔軟なシール印刷を実現することで、ビジネスの競争力を高めることができるでしょう。

 
 
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